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病気を経て

清道館のみなさん、
こんにちは。井上清恵です。

この度は、私の突然の病気入院という予期せぬ事態のために、三週間にわたり稽古の中止、代稽古・自主稽古となり、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。1/14に救急搬送され1/30まで入院、退院後1週間、家でゆっくりと療養させて頂いたおかげで、ずいぶんと体力も回復してきました。
先週の木曜日から清道館の稽古に復帰いたしました。
木、金、土、日と稽古して、みなさんの元気な姿と、お帰りなさいの声がとてもとても嬉しかったです。
ありがとうございました。

今回このような、長期の入院治療を要するような病気(腎盂感染症)になってしまったのは、普通なら体内の自己免疫機能でやっつけることができていた細菌が、自分でも自覚することができなかった免疫力の低下によって、廻ってはいけない内臓にまで廻ってしまったことによるものと考えられます。
呼吸法を毎日のようにやっているから私は大丈夫、と過信していたことも正直あったと思います。
毎日の呼吸法をもってしてもカバーできないほど身体が悲鳴を上げたのは、他でもない、私自身の不摂生(年末年始の暴飲暴食&睡眠不足)によるものと、深く反省しています。イベントや飲み会・宴会といった「楽しいこと」への脳的欲求を、「体の声」を聴いてセーブする、という武道家として当然のありようを怠っていたことを、恥ずかしいことですが正直に認めて、みなさんに謝罪したいと思います。

入院は二週間に及びました。
最初の三日間は高熱が続き、意識も朦朧として昼も夜も、どこに運ばれたかも分からず、ただただ苦しかったことを覚えています。
4日目から熱がやっと引き始めましたが、その後二週間もの安静と点滴治療が必要になるとは、本当に予想外でした。内田先生からは、とにかくゆるゆるダラダラして休息することに専念するようにと言っていただき、おかげで、身体を休めながら、自分のこれまでとこれからについて、じっくりと考える時間をもらいました。
ただ、小谷さんの結婚のお祝い会に出られなかったことは本当に悔やまれます。小谷さん、すみませんでした。

私のいない間、代稽古や自主稽古にたくさん人が集まって、皆で熱心に稽古していたことを森川さんから聞きました。嬉しかったです。
指導者不在の間も自分たちで稽古をしっかりやってくれる頼もしいみなさんのおかげで、私は治療と療養に専念できました。
心から感謝申し上げます。。

こういう予想外の非常時にどう振る舞うか、で、その共同体の「成熟度」のようなものが測られるのではないでしょうか。
入院中、皆さんの稽古の様子や、小谷さんのパーティの様子を聞くにつれ、私の指導は間違ってはいなかったんだと思いました。
いざという時に、個人の力を結集して難局を生き延びる、合気道の稽古はその為にあるといってもいいと思います。
協同できる能力、これこそ重要な「同化力」です。
我々が稽古を通して高めようとしている命の力とはこの「同化力」である、と多田先生が常日頃言われる通りです。
私自身も合気道をやってきたおかげで、今回、皆さんという結束したチームに助けられ、窮地を乗り切ることができたと思います。
それは仲間を大事に、といった道徳観でも精神論でもない、生きる技術であり、それが(きっと合気道を通して)すでにみなさんひとりひとりの中に根付いているのかもしれません。

さて、すでにお知らせがあったように、水曜日のお稽古をこのたび中止させてもらうことになりました。
水曜日のメンバーにはたいへん申し訳ないのですが、これからも合気道中心に自分の生活を回していくうえで、継続可能な方向を探って検討した結果です。
合気道を長くやっていくには、まずは健康な心と身体が資本です。今回のことで、合気道を継続できる心と身体をどう維持していくかについて真剣に考えました。
ここのところずっと、水曜日や土曜日の北の稽古に参加する人数が極端に少なくなってきていました。
もう少し来てくれたら嬉しいけど、皆さんいろいろと忙しいでしょうから仕方がないですし、もちろん少人数でもよい稽古になるので、なんとか続けてきました。が、こういう事態になり、改めて自分の合気道と生活のシフトを見直した上で、参加人数が少ない水曜日の稽古を(ほかにも理由はありますが)この際、辞めさせて頂くことにいたしました。
それは、自分の休息日を取るためというだけではなく、清道館の稽古の質をより高めるためでもあります。量より質、です。
稽古日数を絞ることでその分のエネルギーを、他の曜日の稽古に、より注力していけるはずです。
凱風館での自分自身の稽古は、自分の合気道の質を高めていくためのインプットの場ですので、そこを減らすことは、皆さんへのアウトプットの質が減じてしまうことに繋がります。また、凱風館の書生の仕事で忙しくなったから過労になったのでは、と心配してくださる方が多いんですが、書生の仕事やそれにより肉体的に多少忙しくなったことが、今回の病気の直接の原因ではないと私自身は考えています。

という訳で、ずっと来てくれていた水曜メンバーや凱風館の方々には本当に申し訳ありませんが、当面、水曜日をお休みとさせていただきます。
今後は水曜以外の稽古(木、金、土、日×2回、のおおよそ週5枠)にできるだけ参加していただくようお願いできればと思います。

すっかりとは言えませんが、日に日にからだは元気になってきています。
ただ、今現在は体力と筋力は史上最弱の状態ですし、受けはしばらくしないよう医者から止められています。
ところが意外なことに、技は以前より冴えているように感じます。
その理由はまた道場で。

最後になりましたが、井上不在の間、清道館の代稽古や自主稽古に参加下さった凱風館のみなさまにも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
いつも我々を支援してくださり、本当にありがとうございます。

みなさんとまた道場でお稽古できることがただただうれしいです。
長くなりましたが、以上退院のご報告と水曜日中止についてのお詫びでした。
ありがとうございました。

井上清恵